白籏史朗の自然歳時記
「北アルプス涸沢岳西尾根から滝谷ドーム」 |
 |
西尾根高所での幕営はすでに5日となる。悪天にわざわいされての停滞、前進を阻まれた私の心中には1日1日と登頂できない不満がくすぶり、思い澱となって積み重なって行く。だが、いつかは晴れる、のことわざどおり、6日目の朝、雪化粧した北アルプスはその全容を私の前に聳立させた。1日を撮影についやし、明日は奥穂高岳登頂と決めた、そのしめくくりは傾むきはじめた陽にかがやく滝谷ドームの晴れ姿だった。
写真・文 白籏史朗 |
消防科学総合センター季刊誌「消防科学と情報」1997年冬号より |
|
|
|
|
|